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414 名前:義理兄妹 1 ◆Xaq9.y7Ff2 [sage] 投稿日:2011/03/28(月) 14 56 15.90 ID vGThuI8z 「お兄ちゃんのばか!!」 「ご、ごめん。ホントに今月はきついんだよ」 「でも、あのとき来月には買ってくれるっていった」 「うーん、わかった、じゃあ、今日のご飯はサキちゃんの好きなオムライスにしよう」 「!ほんと!・・・いや、だまされなよ、買ってくれるっていったもん」 「だーかーらー、それは無理なんだよ。それ以外。」 「・・・・・・わかった。じゃあ、さびしいとき一緒に寝てくれる?」 「サキちゃん、もうすぐ小学生だよ」 「だって、寂しいんだもん」 「はあー。寂しいときだけだよ」 「うん♪」 量の少ない、小さなポニーテールを揺らしながら、自分の手を取って家路につく笑顔の少女。つないだ手を元気よくふりながら鼻歌を歌っていた・・・ ガタンゴトガタンゴ・・・プシュー 「終点、◎×駅。お忘れ物のないようご注意ください。本日のご乗車ありがとうございます」 えええ!!寝過した・・・サキちゃんに叱られるなあ、はあ。そもそも、帰りが少し遅れただけで怒りすぎだよね。前は早く帰ってこなかった罰だとかいって日曜は外にだしてくれなかったし・・・ ピピピピピピピ 来た。この着信はとると確実に耳元で火を噴きますよね。うん。無視して早く帰ろっと・・・ 415 名前:義理兄妹 1 ◆Xaq9.y7Ff2 [sage] 投稿日:2011/03/28(月) 14 59 17.19 ID vGThuI8z ・・・と思って帰ってきた三十分前の自分を殴りたい。ああ、36のおっさん が17の娘さんに怒られてるってのは笑える場面だ。いや、俺が当事者 なんで、全く笑えないがね、はは。というか、正座きつい。 「全く、お兄ちゃんはなんでそんなに寝過しが多いのよ。 一体、何回目?多すぎて数えきれないわよね」 「いやいや、寝過し程度でキレすぎだよ。」 「毎回毎回、一生懸命作った食事が冷めていくのを見る虚しさがわかる?」 「はい、ごめんなさい。もうなにも言いません。」 大分、委縮した俺を見て、サキちゃんは一つ溜息をもらした。 スッと通った鼻筋、黒曜石のような瞳、若干、茶色がかった 色の髪、白い肌、後、何て言ったってプロポージョン、特に 足の綺麗さなんて国宝級です。兄としてはうれしい限りです。 しかし、心配なことが一つ。サキちゃんには彼氏がいないらしい。 確かに、兄としては大事に育てた妹がお嫁にいくのは悲しいけど、それ以上 に幸せになってくれたという喜びがあるわけで、兄はサキちゃんの 今後が心配なんだよね。 「あのさ、サキちゃん」 「なによ。」 「・・・彼氏できた?」 416 名前:義理兄妹 1 ◆Xaq9.y7Ff2 [sage] 投稿日:2011/03/28(月) 15 00 41.36 ID vGThuI8z 「!!なんでお兄ちゃんにそんなこと言われなきゃなんないのよ。だいたい、そういうナイーブなとこ聞く?ほんっとにデリカシーがないよ。」 「違うよ。心配なんだよ。だから、ほら」 そう言いながら、差し出したのは地元の遊園地のペアチケットだ。 「なによ!わたしから、男を誘えっていうの?そんな、媚びた様な真似できないわよ」 「いや、でもさ、最近は肉食系女子ってのが流行ってるらしいし、ひとつ積極的になるのもいいんじゃないかと」 「・・・間に合ってるわよ」 417 名前:義理兄妹 1 ◆Xaq9.y7Ff2 [sage] 投稿日:2011/03/28(月) 15 01 43.75 ID vGThuI8z 間に合っている? 間に合っている→必要ない→満足している→彼氏がいる!! 「うわー!どうしよう、どうしよう。お祝いは何がいいのかな?赤飯炊くべき?」 「??なにを勘違いしてるの」 「だって彼氏できたんでしょ」 「・・・もういい!!おやすみ!!!」 鼓膜が痛い。叫ばなくてもいいんじゃないかな。顔を真っ赤にしてサキちゃんは二階に上がっていってしまった。どうしよう、やっぱり女の子は難しいなあ。なにがいけなかったのかな。鼓膜いたい。 418 名前:義理兄妹 1 ◆Xaq9.y7Ff2 [sage] 投稿日:2011/03/28(月) 15 03 29.24 ID vGThuI8z 猛省のなか、風呂に入り、布団のなかでうつらうつらしていると ノックの音が聞こえてきた。サキちゃんが来たみたいだ。 「どうぞ」というと、枕をもったサキちゃんがゆっくりとした 動作で、暗闇のなか、入ってきた。 「あのさ、えっと、その・・・一緒に寝てもいい?」 「お嬢さん、御歳は?」 「17よ!!なによ、約束したじゃない」 「いやはや、あの頃は小さかったしね」 「もういい!!」 暗くて顔の色は解らないが、おそらく怒りで真っ赤なのだろう。 やばい、これ以上、怒らせては、明日の弁当が人参パラダイスと化す。 サキちゃんをからかうのは面白いが、人参はその楽しさを帳消しにする力がある。 「待って。なにも聞かないから。」 「・・・一緒に寝てもいいの?」 「バッチコーイ」 「・・・おじゃまします」 小ボケには付き合ってくれないらしい。ヤベー、相当怒らせてるよね。 反省、反省っと。 「すっごい寂しいことがあったんだ。」 「うん、知ってる。サキちゃんがこうするのって寂しい時だけだもんね」 「・・・・・・アリガト」 それ以後は会話はなかった。サキちゃんの肩と枕の隙間に片腕を通して、 もう片腕はサキちゃんの脇の下を通して、背中と後頭部を包み込む。 小さなころから二人で寝るときはこの格好だったなと思いながら眠りに落ちて行った。 目次 次へ
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ウキツ 列伝 後漢の道士。東方に住み、江東近辺を往来した。 【演義】 符水を使って病人を治療し、信仰を集めた。孫策が袁紹の使者・陳震を歓待している時に現れ、参列者が孫策よりも于吉を重んじたことで孫策の怒りを買う。雨乞いを命じられ実際に雨を降らせると、妖術を使ったかどで処刑された。その後、孫策は于吉の亡霊に苦しめられ、若くして世を去る。 【正史】 孫策が許昌を攻める時に従軍。干ばつに苦しむ兵のために雨を降らせるが、孫策の不興を買って殺された。 能力値 統率 武力 知力 政治 魅力 総合 素質 12 6 66 88 95 267 特技 祈願 豊作になりやすくなる マスクデータ 相性 出身地 起用 戦略傾向 地元執着 義理 野望 漢室 生年 登場 没年 死因 性格 音声 口調 - - 義理 現状維持 重視 4/5 3/5 3/3 131 184 200(70歳) 不自然死 剛胆 剛胆 尊大 舌戦 得意話題 保有話術 大喝 詭弁 無視 鎮静 逆上 道理 親愛・嫌悪 状態 武将名 于吉 親愛 なし なし 嫌悪 孫策 なし イベント 孫策の死 旅人訪問 意外に舌戦で勝つのが簡単 -- (名無しさん) 2012-10-09 02 30 37 この太平道の創始者さんの孫策イベントはぶった切っても起こりますか? -- (名無しさん) 2013-07-10 00 10 08 この人こそ鬼門では? -- (名無しさん) 2014-11-16 00 15 07 話ぶった斬って申訳ないが、 彼の項目へのアクセスが特定経路(親愛嫌悪・更新履歴)からでないと出来ないのは 如何なものか。他にも同様の武将は居るはず・・・ -- (名無しさん) 2014-11-16 20 44 40 孫策のイベントでの舌戦相手。知力は孫策よりデフォルトで低く、話術も持っていないので意外と勝てる。 が、性格は剛胆。油断すると負けるので気をつけよう。 -- (名無しさん) 2016-11-05 20 23 27 え゙っ? PS2PKには武将として出てこないと思うんですが、PCには出てくるんですか!? -- (名無しさん) 2017-03-21 21 23 37 ↑イベントのみのハズ -- (名無しさん) 2017-03-21 21 55 45 ↑でも列伝や能力値、マスクデータが表示されてるのは...? -- (名無しさん) 2018-04-08 02 15 15 舌戦させるために必要だったんじゃない? 知力と性格だけ設定するなんてできないだろうし -- (名無しさん) 2018-04-08 11 07 57 ↑そういう意味ではなく、能力値やマスクデータが解るのかってことじゃね? -- (名無しさん) 2018-04-22 13 30 53 列伝は三國志事典の武将事典で見れますね。 能力値やマスクデータは、PC版であれば、ツールを用いることで確認できます。 ※于吉の他、各種旅人の武将データも登録されています。 霊帝や少帝の武将データも存在します。 -- (名無しさん) 2018-04-24 02 20 37 ↑解りやすい説明、ありがとうございました。 -- (名無しさん) 2018-04-24 18 13 04 名前 コメント すべてのコメントを見る
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7 名前:義理兄妹 2 ◆Xaq9.y7Ff2 [sage] 投稿日:2011/04/05(火) 22 57 31.58 ID JUm2/O/x 無粋な携帯がパジャマのポケットで振動する。 はっきりいって不愉快極まりない。 ずっと、お兄ちゃんの腕のなかで眠っていられたらいいのに まあ、そんな現実逃避は意味がないので目覚めることにする。 目の前にはお兄ちゃんの胸板があって、私は思い切り深呼吸をした。 うーん、肺の中がお兄ちゃんでいっぱいだ。 ……いけないいけない。悦ってた。朝ご飯作んなきゃ でも、その前にお兄ちゃんにイタズラしようかな。 態勢をかえて上からお兄ちゃんの顔を覗き込める様にする 両手をお兄ちゃんの頭の両サイドにおき、唇と唇を合わせる あったかい いつまでもこうしてたい でもだめ、呼吸音が変わった 4,3,2,1 すっと頭をあげて お兄ちゃんの顔をのぞきこむ ぼんやりとした瞳があらわれた。 8 名前:義理兄妹 2 ◆Xaq9.y7Ff2 [sage] 投稿日:2011/04/05(火) 22 58 27.98 ID JUm2/O/x 「うん?あ、おはよう。サキちゃん」 「おはよう。よく寝てたね、疲れてるの?」 「うーん、わかんない。というか、顔が近いよ」 「それは起きない場合、鉄拳制裁を施すためだよ」 「輝かしい一日の始めにケガしたくない」 「起きろ。そして、お兄ちゃんのいて座は最下位です」 「マジすか。隊長、俺、今日、生き残れないっす」 「・・・早く帰ってきてね」 夫婦漫才を一方的にぶっちぎり台所に向かう お弁当の準備は昨日のうちに済ませたし、朝の献立も考えてたから時間かかんないよね 料理が私、掃除がお兄ちゃん、洗濯は当番。 家事分担okってお兄ちゃんは良いお婿さんになるなぁ、 もらうのは私だけどね 。 9 名前:義理兄妹 2 ◆Xaq9.y7Ff2 [sage] 投稿日:2011/04/05(火) 22 59 19.85 ID JUm2/O/x ご機嫌な気分で朝の身支度を整え、朝食の用意をすると、結構な時間だ。 えっと、さっき洗面所で見かけたから部屋にいるのかな、お兄ちゃんは 遅刻させる訳にはいかない、未来の妻としてはね。 「お兄ちゃん、遅刻するよ~」 目に飛びこんできたのは、書類を見つめるスーツの男の人だった。 お兄ちゃんは身長は175くらいで普通だが、顔が少々強面の部類に入るから笑っていないと威圧感がでるし、真剣な表情は多少怖く感じる。 私が知らないお兄ちゃんの顔。私が届かない大人のひと・・・ 舞い上がっていたテンションが急降下する。 さっきまで笑顔だったのに今の私は仏頂面だ。 10 名前:義理兄妹 2 ◆Xaq9.y7Ff2 [sage] 投稿日:2011/04/05(火) 23 00 07.44 ID JUm2/O/x そんな私の態度が不思議なのか、こっちを伺うお兄ちゃん ごめん、お兄ちゃんが悪いんじゃないの こんな風に心配かけさせたり、八つ当たりしたりしてほんとに子供だ。 ああ、いやになる。 重い空気の中、朝食が進み、私は食事が終わったお兄ちゃんに飲みものを差し出した。 「またプロテイン入ってたりする?」 「だって筋肉つけないと、また体脂肪率戻るよ」 「いやいや、ランニングちゃんとしてるよ。結構な筋トレもしてますよ。そして激マズなのだよ、プロテイン」 「うん、じゃあ、腹筋割るつもりでいこうっぜ」 「おっさんの体に無茶をいいすぎだっぜ。いびりに近いっぜ。」 「ずべこべ言わないで飲め。いびりレベルを上げるわよ」 「やはりいびりだったのか!」 バカ話で少し私の気も晴れた。やっぱりお兄ちゃんは笑顔がいいよ。 私の知ってるお兄ちゃんでいてほしい。 アンニュイな気持ちが渦巻くなか学校へと歩を進め、午前の授業を消化する 四限目、校庭をみると、体育祭の練習をしていた。 みんな、両親が応援に来たりするのだろうか。 両親かあ・・・・・・。 私と両親との写真は少ない。それでも、時間のことを考えれば多いのかもしれない。二年という短い時間を考えれば ・・・ 子宝に恵まれない白城夫妻と近所で両親は有名だったらしい。 そんな中、お兄ちゃんを養子に迎えたが血の繋がった我が子というのが欲しいものなのか、 11 名前:義理兄妹 2 ◆Xaq9.y7Ff2 [sage] 投稿日:2011/04/05(火) 23 01 00.34 ID JUm2/O/x 長年に及ぶ不妊治療の結果、ようやく授かったのが私。 そして、幸せの絶頂期にあえなく二人ともども事故死。 二才の私はなにも覚えてないし、悲しいかと言われても分からない 。 むしろ幼少期にインパクトの強いものと言えば、お兄ちゃんにわがままをいって困らせたことかな 家は私たちのものになったらしけど、当時21のお兄ちゃんが2つの私を抱えて生きていくって・・・ まあ、生活費がヤバいときも何度かあったけど、行事事にはできるだけ顔を見せてくれたし、特に他の子の両親が羨ましいとかは思わなかったけどね。 ありがとう、お兄ちゃん。やっぱり、お兄ちゃんのこと考えると元気g フゥー 朝からのアンニュイモードを吹き飛ばしたときに右耳に息を吹きかけられた。 背筋を駆け巡る悪寒に耐え、右を向くと表情がまったく読めない鉄面皮こと 佐原 有希 がいた。 「なによ」 「いや、余命三カ月の患者みたいな顔から幸せで頭いっちゃってる顔に変化してていて、面白かったから」 「なにも、おもしろくないわよ」 「知らぬが仏」 はあー。なんでこいつは冗談を真顔で言ってくるんだろう。 この娘とは幼馴染。 今みたいに冗談も言えないほどコミュニケーション能力がなかったこいつの話相手になったのが小学校のころ いまでも、一番の友達だったりする。 同じ高さの目線で、同じ様な価値観を共有し、相手の考えをある程度予測できる、居心地のいい関係。 はあ、お兄ちゃんの考えなんてわかんないけどね。 駄目だ、今日は鬱スパイラルみたいだ。 せめて、同じ目線にたてればちがうのかな。 有希みたいに同い年なら考えてることもわかるのかな。 お兄ちゃんと同い年って・・・タイムスリップ?お兄ちゃんが17のときだから19年前? 12 名前:義理兄妹 2 ◆Xaq9.y7Ff2 [sage] 投稿日:2011/04/05(火) 23 01 46.91 ID JUm2/O/x 「あああ、もう!タイムマシンとかないのかな?」 「全く話がつながってないわよ、紗希。」 「だから、過去に行きたいの!19年前。わかれ、それくらい。」 「無茶言いすぎよ。そう、紗希はタイムマシンがほしいのね」 「そうよ。そういうありそうもないことにでもすがりたい気分なの」 「藁おもつかむってやつね。」 「そう。そんな気分なの」 「・・・私はタイムマシンなんかほしくないわ」 「!!なんで?いろいろ便利なことに変わりないじゃない」 「でも、タイムマシンがあれば、現在は無意味なものじゃない」 「無意味?なんでよ、自分の都合のいいように現在を変えることだってできる じゃない」 「でもそれって、今まで生きてきた時間は意味がないって言ってるようなもの よ。いやなことも楽しいことも全部含めて、私はここに生きているって思いた いの」 そういった、有希の目は同い年とは思えないほど、澄んでいてきれいだった。 「そうだね。私の17年は無為にしたくないかな」 「あら?ものわかりがいいのね、今日は」 「その減らず口どうにかならないの」 苦笑まじりの私に微笑をむける、有希。 この娘は気付かない大切なことを教えてくれる。 そうだよね、悔んだり、あり得ないことを考えるよりも、今、できることを考えようかな。お兄ちゃんと過ごした17年は変えがたいものだし。 お兄ちゃんのご飯を作って、一緒に暮らして、一緒に寝て、こんな幸せなこともないよね・・・私がこれ以上を望めば・・・砂上の楼閣なの? 戻る 目次 次へ
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matlabで二次元データ(地形データ)から特定の値(海岸線)だけをプロットする data:二次元地形データもしくはマスクデータ contour(data,[0 0], k ) これで,0のラインだけを描くことができる. マスクデータ等であれば適当に[0.01 0.01]などすればそれらしい境界線を描くことが可能. [PR] メールフォーム
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「はぁ……」 溜息が僕の耳にこだまする。これで今日何度目だろうか。 あきら様は収録を前にして憂鬱になっている。 理由はわかる。今日の日付を考えればすぐに分かる事だ。 二月十四日。俗に言うバレンタインデーであり、あきら様の誕生日でもある。 恐らく、あきら様をメランコリーな気分にさせているのは前者なのだろう。 今日という日に限って『らっきー☆ちゃんねる』の収録があるのだから。 チョコを渡したい人にも渡せず、メランコリーな気分になっているのだ。 チョコを渡す本命、それは僕でも察しが付く。その相手は、キョンだ。 以前、僕の学校に遊びに来たあきら様は涼宮に目をつけられ――キョンと出会った。 その頃はあまり意識していなかったのだろう。出会った当初の彼に対する態度はそっけなく、彼ともそれほど接点は無かった。 しかし、しばらく僕の学校に顔を出していくうちにあきら様の目的はだんだんと変化していった。 初めはオープンハイスクールのような感覚で来ていたのだろうが、後に僕とはそれほど関わりの深くないSOS団に顔を出す事が多くなっていった。 目的はキョンである。 一度、僕もSOS団にあきら様と一緒にお邪魔させてもらった時、あきら様のキョンに対する態度が明らかに出会った頃と違っていた。 キョンと話すときのあきら様の顔と態度は明らかに「乙女」だった。 僕にも見せた事のない、初めて見る顔だった。 あの紅くリンゴのように染まる頬、キョンの顔を見たくても見れないもどかしそうな表情は、今でも鮮明に記憶に残っている。 っと、少し回想が長引いてしまった。 我に帰ったときには既に本番が迫っていた。 ふと気になりあきら様の方を見ると、依然上の空状態。 「あきら様、もうすぐ本番ですよ」 呼びかけるもしばらく返事が無い。が、しばらくして、 「ん?わ、わかってるわよ。そんな事」 と言って収録の準備を始める。 やはりと言うか、当然、あきら様の返事にはいつもの元気良さが無かった。 このままじゃあきら様は後悔する。そう思い、僕は例の人物に電話をかけ、本番に臨んだ。 収録が開始してもあきら様の上の空状態は直る事は無かった。 とは言っても、この番組のプロデューサーも誰も撮影をやめようとしないのは、こういったあきら様の情緒不安定(こう言うと失礼だが)な部分は慣れているのであるし、充分絵にもなるのだろう。 その為、今回も例にならい僕が番組を仕切り、番組を締めるといった感じで収録を終えた。 収録を終えた後、僕は例の人物の到着を待った。 間に合うのだろうかと不安げに思っていると、ドアがノックされる音がした。 「どうぞ」 その呼びかけに対しドアを開け中に入ってきたのはあきら様だった。 「どうかされましたか?」 あきら様に対し僕はそう尋ねた。するとあきら様は、 「あんた、今日が何の日か知ってる?」 と、逆に質問された。 「今日はバレンタインデーですよね」 そう笑顔で返事をするとあきら様の目つきが一気に変わった。 「あはは、冗談ですよ冗談。今日はあきら様の誕生日ですよね」 そう答えるとあきら様の目つきは一気に緩む。とは言っても落ち込んでいることに変わりはないのだが。 「そうよ。で、ちゃんと渡すべき物は用意しているんでしょうね?」 どうやら落ち込んでいてもプレゼントは欲しいらしい。ま、普通と言えば普通なのだが。 「あのー、それが用意できなかったんですよね」 「なんだって!?」 あきら様の怒号が飛ぶ。 「ま、また今度用意しますから。安心してください」 そう言うとあきら様は「あっそ」とだけ言った後、自分の鞄の中を漁り、あるものを取り出した。 「はい」 あきら様が差し出したのはチョコレートだった。 「これは……?」 「見ての通りチョコよチョコ。今日はバレンタインデーだから、一応渡しておくわ。義理だからね」 そう言って渡されたのは透明な袋越しに見える、少し形が歪なチョコだった。 そのチョコからはあまり普段は料理をしないと言っていたあきら様が一生懸命、自分なりに頑張って努力をしたのだというのが良く見えた。 僕には分かった。――これは本来義理では無いものなのだと。実際は別の人、つまり本命に渡す予定の物だったのだと。 「すいませんが、これは受け取れません」 「ああ!?なんだって?」 再びあきら様の表情が変わる。しかし僕はそれに動じずに話しを続ける。 「これは本来僕に渡す物じゃありませんよ。本当に渡す人がいるはずです」 「ばっ、そんなことは……」 「嘘をつこうとしたって無駄ですよ。だてにあきら様のアシスタントはやっていませんから。それに、あれほど普段は料理をしないって言っていたあきら様が手作りのチョコ を義理相手に作るはずがありませんよ。僕はこのチョコを貰った時に、あきら様がどれほどまでに一生懸命作ったのか容易に想像が出来ました。本命に対する思いは、本気な んだってね」 言いたいことを言い終えるとドアがノックされた。 「はい」 「はいるぞ」 その声と共に入ってきたのは僕が呼んだ電話相手、キョンだ。 「なっ、何でキョンが?」 あまりのことに驚くあきら様。その様子を見ながら僕は持っていたあきら様が作ったチョコをあきら様に返した。 「これを本来渡す相手が来たじゃないですか。さ、これを彼に渡すんですよ。これが、彼を呼んだ事が僕のあきら様へのバースデープレゼントじゃ、駄目ですかね?」 そう言って僕は立ち上がり、部屋を出ようとする。 「おい、俺を放っておいて何処へ行くんだよ」 「ちょっと、トイレだよ」 そう言い残して僕は長い長いトイレへと行った。 僕はあきら様がちゃんと事を成し遂げるのかと不安に思っていたのだが、思っていたことは杞憂で済んだらしい。 次の日からのあきら様はいつものように、いや、いつも以上に明るくパワフルになっていた。 そして、その日に僕はれっきとした市販の義理チョコを貰い、最後にこう付け加えられた。 「お返しは三倍返しだから。……あと、昨日はありがとう」 その言葉を聞いた僕は、笑顔を隠せなかった。 「アシスタントとして当然ですよ」 その言葉を聞いたあきら様も笑顔を浮かべた。 今日も楽しい収録になりそうだ。 作品の感想とあきら様へのバースデーメッセージはこちらにどうぞ
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データまとめ 各データ概要武将の個性を表すデータ可視データ マスクデータ 武将の状態を表すデータ 能力を上げたり獲得したりするには 補足 データまとめ いろんな観点からの武将一覧。 火間虫入道の武将総覧 が非常に優れたデータベースなので、基本的にはそちらを参照。 データ分布 政才 戦才 智才 魅力 野望 職業 その他 15歳以外で登場する武将一覧 血筋別家系図一覧 汎用顔グラフィック対応表 各データ概要 武将の個性を表すデータ 武将一人一人に定められた、それぞれの個性を表現するデータ。 可視データ 政治・戦闘・智謀の実行能力と熟練度に関しては後述。 才能値 政治才能値(政才)・戦闘才能値(戦才)・智謀才能値(智才)。武将ごとに定められた、各実行能力の上がりやすさと上限を決める値。 同じ熟練度でも才能が5倍違うと能力も5倍違う。家宝で上がり、老齢で下がる。 内部的には1~100の100段階で表されており、ゲーム内では数値にはっきりした差異をつけるためか2倍されている。必ず偶数なのはそのため。また、エディタだと半分になってるように見える点は注意。 習得度 政治習得度(政得)・戦闘習得度(戦得)・智謀習得度(智得)。各熟練度の上がりやすさで、Aだと上がりやすく、Cだと上がりにくい。 AとB、BとCのそれぞれで、獲得する熟練度の量に1.2倍ずつぐらいの差がある。 政得 戦得 智得 人数 政得 戦得 智得 人数 政得 戦得 智得 人数 A A A 24 B A A 18 C A A 15 B 24 B 101 B 81 C 10 C 81 C 70 B A 34 B A 27 B A 2 B 64 B 346 B 28 C 20 C 159 C 23 C A 14 C A 9 C A 0 B 44 B 33 B 0 C 16 C 41 C 16 魅力・野望 政戦智ほどではないが多くのコマンドに影響を与える。魅力は官位で、野望は家宝でのみ変化し、それらの与奪以外では不変。 職業 なし・忍者・茶人・剣豪・僧侶の5種類。それぞれ1235人、6人、17人、16人、26人。ゲーム中で変化しない。 茶人・剣豪・僧侶はそれぞれ茶会・御前試合・問答で能力値+20の補正を受け、事典忍者は暗殺と壁越えの成功率が上がる。あとはせりふに影響するのみ。 姓名 言うまでもなく武将の名前。河野通直・武田信豊・酒井忠勝・島津家久以外は完全に固有。 武将編集で変えることができる。史実での改名も、改名イベントである程度再現される。また、姫の名前は大名がつけることができる。 列伝 武将の生没年・名前の読み方・伝記が書かれる。全角21字×4行という短さにうまくまとめてあり、プレイを楽しむ糧となる。 マスクデータ ゲーム内で直接表示されない要素。変化しない。寿命だけは編集でいじれる。 ちなみに新武将作成では、思考・義理・相性・勇猛・独立が登場させる城の所属勢力をすべる大名と同じになる。 血筋 血縁武将であるかどうかの判定用。値域は0~255。253までの値の武将は、同じ値なら同族とみなされる。254はブランクで、255は血縁のいない武将に割り振られている。 各値と家系との対応は血筋別家系図一覧を参照。 武将同士がどのような関係(親子か兄弟か)にあるかは、後述の「親顔番号」と年齢によって判定している。 血縁番号が異なっていても、親子と兄弟(および娘婿)までは一門衆となる。 思考 その武将の性格を表す。0~7と255の9種類。 値 タイプ 例 備考 0 名将 織田信長・豊臣秀吉・徳川家康 条件が整うまで非好戦的 領土が狭いと自滅 1 戦闘1 柴田勝家・本多忠勝・村上義清・龍造寺隆信 猪突猛進 後先考えず可能な限り戦争 2 戦闘2 六角義賢・山内一豊・明石全登・剣豪全員 3 政治1 大内義隆・南部信直・足利義晴・酒井忠世 4 政治2 前田玄以・小西行長・豊臣寧子・茶人全員 5 智謀 豊臣秀頼・久武親直・浅井久政・忍者全員 6 凡将 徳川秀忠・山名豊国・神保長職・畠山高政 7 姫1 実在して列伝のある姫 255 姫2 7以外、つまりランダムで出現する姫 義理 これも武将の性格で、義理堅さを表す。0~15の16段階。値が大きいほど義理堅く、寝返りにくい。 通常、軍団長の謀反は忠誠度が野望の半分未満になった時に起こるが、義理が3以下で野望80以上の軍団長は、これに関係なく謀反するらしい。優秀な武将には義理もへったくれも無いやつがいるので、注意。 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 人数 5 8 10 33 59 74 147 159 318 172 95 77 52 45 18 28 相性 武将間の相性を決める値で、0~15の16種類。同じ値だと相性が最良で、値が離れるほど相性が悪くなる。0と15は隣り合う値として扱われる。 教育や登用をはじめ、多くの行動に影響する。同族は基本的に同じ値だが、武田や斎藤など確執がある場合は異なる。 事典 数値ごとに代表格となる武将を選定し、他の武将の値はそれに基づいて決定している。 値 人数 代表格 値 人数 代表格 0 190 織田信長・斎藤道三・松永久秀・羽柴秀吉・真田昌幸・戸沢盛安 8 57 本願寺顕如・足利義昭・朝倉義景・浅井久政・鈴木佐太夫・百地三太夫 1 150 大友宗麟・尼子晴久・陶隆房・蘆名盛氏・宇喜多直家・石田三成 9 80 武田信玄・毛利元就・大内義隆・三村家親・秋月種実・武田義統 2 52 南部晴政・蛎崎季広・村上義清・姉小路頼綱・山名豊国・直江兼続 10 53 細川晴元・津軽為信・葛西晴信・九戸政実・赤松義祐・別所長治 3 46 最上義光・結城晴朝・大崎義直・千葉昌胤・北条氏直・結城秀康 11 44 一条兼定・阿蘇惟将・北畠具教・小早川隆景・大宝寺義氏・小早川秀秋 4 85 北条氏康・佐竹義重・足利義輝・那須高資・相馬盛胤・浅井長政 12 53 六角義賢・柴田勝家・宇都宮興綱・里見義堯・小田氏治・肝付兼続 5 39 二本松義継・畠山義続・畠山高政・有馬晴純・少弐冬尚・北条氏政 13 97 長宗我部元親・龍造寺隆信・伊達政宗・木沢長政・浦上宗景・松平忠輝 6 69 上杉朝興・三好長慶・小笠原長時・神保長職・武田信虎・安東愛季 14 57 上杉謙信・斎藤義龍・明智光秀・土岐頼芸・上杉憲政・河野通宣 7 95 今川義元・島津義久・相良義陽・吉川元春・一色義道・波多野秀治 15 133 徳川家康・伊東義祐・島津実久・穴山信君・黒田官兵衛・藤堂高虎 寿命 ずばり武将の寿命を表す。0~7の8段階で、この値×10+30歳から死亡判定が始まる。(0なら30歳から、7なら100歳から) 史実で寿命が分かっている場合は反映している。若くして戦死した武将は一律50歳で設定されているらしい。 0 1 2 3 4 5 6 7 人数 26 58 269 422 311 147 50 17 勇猛 0~7までの8段階で、CPUとしての行動にかかわる。値が大きい方が好戦的な軍団長になるようだ。戦争での行動にも関係するかも? 0 1 2 3 4 5 6 7 人数 155 157 165 179 193 131 159 161 独立 0~7までの8段階。旗揚げに関係するといううわさもあるが、よくわからない。 0 1 2 3 4 5 6 7 人数 188 145 182 189 189 153 134 120 口調 せりふにのみ関係。0~7まで8種類と豊富で、天翔記の魅力の一つになっている。→せりふ 0:無口 1:礼儀正しい 2:粗暴 3:高貴 4:生意気 5:威厳 6:饒舌 7:一般 顔番号 顔画像と列伝に関連づけられる、各シナリオ共通かつ武将固有の値。 値域 種類 0~362 無印専用 363~378 史実姫専用 379~999 無印汎用 1000~1036 PK専用 1037~1299 PK汎用 1300~ 新規作成武将 親顔番号 親武将の顔番号。2000~2040はゲームに登場しない武将で、兄弟関係を表すのに用いられている。 判定は一方通行にはなっていないらしく、編集で息子の年齢を親より年上にすると親子関係が逆転する。 妻番号 妻のいる武将に存在する、「妻はだれか」を表す番号。姫君には、顔番号と別個に固有の番号が割り振られている。 武将の状態を表すデータ シナリオごとに初期値が決められているものの、流動的でよく変化するデータ。 実行能力 政治・戦闘・智謀。コマンドの効果に直接かかわる数値。 才能値×熟練度÷2000という式で計算され、同じだけ熟練度がたまっていても才能により能力が異なるようになっている。 政才170・政治熟練度600の今川義元の政治能力は、170×600÷2000=51。 戦才200・戦闘熟練度1200の上杉政虎の戦闘能力は、200×1200÷2000=120。 智才40・智謀熟練度2000の一条兼定の智謀能力は、40×2000÷2000=40。 熟練度 政治熟練度・戦闘熟練度・智謀熟練度。才能に対して、どのくらい実力を発揮できているかを表す。 たとえば内政やると政治の熟練度が増える。戦争で敵とぶつかると戦闘の熟練度が増え、技能を使えば智謀の熟練度が増える。 元服時は550~650程度で、最低500、最大2000。一応マスクデータだが、才能値と実行能力によりおおよその値はわかる。 教育結果の「○○がわずかに上昇しました」ってのは、実行能力が上がるほどではないけど熟練度はちゃんとたまってるよ、ってこと。 ある行動をとると、それに関係する能力の熟練度が増え、それと関係ない能力の熟練度がほんの少し減る。戦闘ばっかりやってると政治がちょっと下がってたりするのはこのせい。また、春に年齢が50以上だと戦闘、60以上だと智謀、70以上だと政治の各熟練度が下がることがある。才能値が下がることも。 大名・軍団・城 所属を表す情報。どの勢力のどの軍団のどの城に所属するか。 軍団は勢力に属し、城は軍団に属し、武将は城に属す、という4重構造になっており、シナリオエディタでの設定が非常に面倒。 年齢・仕官 生まれてからの年数と、その家に仕えてからの年数。毎年春に1加算される。 年齢は死亡判定や能力低下判定に関係する。また、仕官が長いほど他家への仕官を拒みやすい。 勲功 武将の手柄を数値化したもので、行動によってたまっていく。最大999。他家に仕官すると身分が1段階下がるとともにその身分に応じた勲功値にもどり、浪人になると0になる。昇進以外には関与しない。 身分 家中での序列。下記勲功値に基づいて昇進させることで高い身分になる。他家に寝返ると1段階低くなり、浪人になると足軽頭に戻る。 事典身分によって変わるものには、下表にある率いることができる兵士の数と俸禄のほか、内応・登用の成功率などがある。 大名は身分として扱われるが別格で、さまざまな例外がある。 身分 勲功 兵数 俸禄 金 米 大名 × 100 0 0 宿老 900 100 200 40 家老 600 75 100 20 部将 350 55 50 10 侍大将 150 40 25 5 足軽頭 0 30 10 2 忠誠度 大名への信頼度。最大100。高いほど寝返りにくく、低いと出奔や謀反を招く。褒美や昇進で上がり、手切や没収で下がる。 謀叛フラグ(遺恨フラグ) 5等級以上の家宝を没収された者や大名死後の家督相続で相性が悪い者に立ち、可及的すみやかに出奔する。 軍団長の場合は、そのまま謀叛を起こして大名になってしまう。 遺恨がある場合は金をやっても米をやっても昇進させても消せない。フラグを消すには5等級以上の家宝をあげればよい。 ちなみに出奔すると消えるので、浪人になったところを登用してもまったく問題ない。 軍団長のフラグを立ててしまった場合は速やかに解任するか、家宝でなだめること。 逆に、軍団長謀叛を利用して、好きな武将を思い通りの版図で大名にする、戦争で熟練度を上げる餌にする、謀叛を起こさせて脅迫→成功すれば元大名は宿老として配下になる、などの利用法がある。 兵士数・兵科・訓練度・士気 武将が率いる部隊の情報。→戦争について 能力を上げたり獲得したりするには 政戦智 いい師範役がいるなら、一番早いのは教育。あと、才能を増やせるのは家宝のみ。 ただし、場合によっては関連する行動による上昇が効を奏しまくる。具体的には以下の感じ。 一喝持ちなら、戦場で味方を引っ付けては飛ばしを繰り返せば智謀が超能率的に上がる。堀に向かって火攻めもいい。 混乱も味方に使えるのでやりやすい。大混乱されると困るけど…… 敵がたくさんいるなら挑発もよし。 戦闘力も、ある程度強くなれば実戦の方がばしばし上がる。 野望・魅力 先天的なものなので、褒美以外では一生上がらないし下がらない。上げたければ野望は家宝で、魅力は官位で。 一門衆 縁組。姫がいなければ出るまで待つしかない。 兵科能力・技能・騎馬鉄砲 狙って身につけるなら、教育が最も効率的。それでもなかなか習得しないが…… 割り切って武将編集もありか。 兵科能力は、戦争でも上がる機会がたくさんある。技能は戦場での本丸一番乗りや煽動で得ることがある。いずれも確率は低いが、それだけに感動もひとしお? 騎馬鉄砲は教育のみ。ただし、PKが入ってない場合は教育でも覚えないので、鈴木重秀・伊達政宗・片倉景綱しか使えない。残念。 SFCでは部分的に組み込まれたPK要素に騎馬鉄砲習得も含まれているので教育で習得可能。 戦争中の兵科能力上昇の機会 全兵科共通……通常攻撃の時・敵城の本丸に入る時・敵将を捕獲した時(未確認情報:移動した時・焼討で相手を撤退させた時) 足軽……一斉攻撃の時・城壁に移動した時 騎馬……移動突撃の時・(以下騎馬鉄砲隊の場合のみ)鉄砲攻撃の時・大砲攻撃の時 鉄砲……鉄砲攻撃の時・大砲攻撃の時・城壁に移動した時 水軍……鉄甲船から大砲攻撃を行う時 補足 行動力 各軍団の毎ターンの行動力増加値は、軍団長の野望÷2+(政治+戦闘+智謀)÷6。 MAXの最大は1582シナリオの織田信長で、110÷2+(218+210+212)÷6=161.66666…… MAXの最小は斯波詮直で、23÷2+(100+88+48)÷6=50.83333…… 編集した武将や姫を含めると、最大164.5、最小25。 軍師 コマンドの際にアドバイスをくれる人。 軍師になれるのは、「政治≧100」「智謀≧100」「政治+戦闘+智謀≧250」のいずれかを満たす武将。条件を満たす第一軍団の武将のうち、もっとも政戦智合計値の大きい武将がなる。(事典やハイパーガイドブックには「政治+智謀≧200」という条件が載っているが、間違いらしい) ということで豊臣淀(1599)は逆立ちしても軍師になれません。それ以外はどんなヘボ武将でも軍師を目指せるが、他にもっと条件のよい武将がいればすぐに取って代わられるので、キープするなら縛りプレイになる。 事典能力が高くなるほど信用できるようになるらしい。また登用・内応は存在するだけで成功率が上がるらしい?(未確認) 勲功 コマンド 上昇値・式 内政 開墾 石高の実際の上昇値÷4 外交 同盟 40 友好 30 共敵 35 戦争 本丸一番乗り 20 篭城戦で守り切る 40
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2月14日 「お疲れ様でーす」 番組の収録が終わり、みんな解散していく。 「おい、白石」 「なんすか? あきら様」 「ほらよ」 袋が白石みのるに投げつけられた。 白石が受け取ったそれは透明な袋で、中にはチョコが入っていた。 「義理チョコの余りだ。ありがたく受け取れ」 「ありがとうございます。しかし、あきら様も毎年大変ですね」 スタッフとか先輩タレントとかにせっせと義理チョコを配り歩いている小神あきらの姿を見ているだけに、白石からはそんなセリフがもれてくる。 「この業界で生きてくなら、これぐらいは浮世の義理ってやつだ」 「文字通りの義理チョコですね」 「まあな。で、今年も義理返しはあの可愛い彼女さんが作ってくれるんだろ?」 「そうなるとは思いますが」 「まあ、あの美味しい菓子が食えるなら、悪くない投資だな」 あきらは、そういうと足早に次の番組の収録現場に向かっていった。 なんだかんだいっても、あきらは人気高校生アイドル。仕事の日程はかなり詰まっている。 白石は、電車を乗り継いで、自宅であるアパートに帰ってきた。 「お帰りなさーい」 可愛い彼女、つまりは柊つかさが出迎えてくれた。 「ただいま」 部屋のテーブルの上に、夕食が並べられている。 なんつーか、既に夫婦も同然のような光景だが、一応同棲はしていない。しかし、通い妻も同然なのは確かだった(しかも、つかさの部屋はすぐ隣だ)。 問題は、つかさの方にその自覚があまりないということなのだが。 テーブルの横に、ダンボール箱が置いてあった。 「あっ、それ。今日、事務所から送られてきたみたい。チョコがいっぱい入ってたよ。白石君は、人気者だよね」 要するに、ファンからのバレンタインチョコだった。 つかさの様子に特に変わったところはない。彼女は、このようなことには寛容だった。 むしろ、白石の方が毎年戸惑っている。 あきらがある番組で盛大に暴露したせいで、白石に彼女がいる事実は、世間には周知のことだった。それなのに、毎年このようにチョコが届けられてくるのだから。 白石は、自分がことさらモテるような人間だとは思ってはいないから、なおさら戸惑うばかりであった。 ちなみに、つかさのチョコは朝一番で白石に渡され、既に白石の腹の中に収められている。つかさが料理学校で培ったスキルを惜しみなく投入したそれが、愛情のスパイス抜きでも、極上の味わいであったことはいうまでもない。 白石は、あきらからもらったチョコをテーブルの上に置いた。 「それ、あきらちゃんからもらったの?」 「ええ。義理チョコの余りだって投げつけられましたよ」 「あきらちゃん、毎年そういってるよね」 「そうっすね」 夕食のあとの食器洗いを終われば、つかさは隣の部屋へと帰っていく。 今日は、チョコが詰められたダンボールを持っていくため、白石もつきそった。 ダンボールにはあきらからもらったチョコの袋も詰め込まれ、つかさの部屋へと搬入される。 これらのチョコは、ホワイトデーの義理返しのクッキーを作る際の材料にされる運命にあった。 3月14日 「お疲れ様でーす」 番組の収録が終わり、みんな解散していく。 「あきら様」 「なんだ? 白石」 「義理返しですよ」 白石は、チョコクッキーが入った袋をあきらに手渡した。 ちなみに、ファンたちへの義理返しはメッセージカード(もちろんその内容は丁重なお断りの返事である)とともに、一斉配送されているはずだ。 あきらは、クッキーをひとつつまみ、口の中に入れた。 「うーん、口の中でとろけるぜ。料理番組に出したいぐらいだな」 「ありがとうございます」 「ホント、おまえなんかにはもったいない彼女さんだよな。この幸せ者が」 白石はひたすら照れることしかできない。 あきらは、ここで、この数年来の疑問をぶつけてみることにした。 「これの材料って、バレンタインでもらったチョコなのかよ?」 「ええ、そうっすけど」 (やっぱ、そうか。彼女さんの作ったチョコ以外のチョコは、白石の口に入ることはないわけだ。まあ、それぐらいの独占欲は当然だわな) 「それがどうかしたっすか?」 「いや、なんでもねぇよ」 (こいつは気づいてないみたいだな。この鈍感男め。やっぱ、おまえには、あの可愛い彼女さんはもったいねぇよ) そうは思っても口には出さない。 二人の仲を応援すると決めたのは、ほかならぬあきら自身だから。 数年前に、二人の交際の事実を盛大に暴露してやったのも、二人をアシストする意味があったのだった。 (案外モテるやつだからなこいつは) 「彼女さんにはお礼を伝えておいてくれ」 「分かりました」 あきらは、そういうと足早に次の番組の収録現場に向かっていった。 終わり
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義理なさけ 山本周五郎 ------------------------------------------------------- 【テキスト中に現れる記号について】 《》:ルビ (例)詰《なじ》 [#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定 (例)[#8字下げ] ------------------------------------------------------- [#8字下げ]一[#「一」は中見出し] 梅雨があがって、にわかに日光がぎらぎらしだすと、庭にありとある花草や樹々がいっせいに活気をもりかえし、じっとしてはいられないというように枝も葉もぐんぐんと伸びはじめる。良左衛門には一年じゅうで最も好きな季節であった。単衣の裾をはしおり、菅笠をかぶり、朝から菊畑へおりてせっせと土いじりをしていた彼は、ようやく快いつかれを覚えだしたので、腰を伸ばしながら立ちあがった。 ――ひとやすみするか。喉も渇いていた、しきりに熱い茶がほしい、良左衛門は道具をそこへ置き、手をはたきながら内庭のほうへはいって行った。すると、ちょうどそのとき、しず[#「しず」に傍点]江という若い小間使が、人目を憚るような身ごなしで、廊下を小走りに奥の間のほうへ来るのをみつけた。なんの用があるんだ。奥の間には良左衛門と甲子雄の部屋しかない、そこへの取次は家士の役目で、小間使などのでいりは常から禁じてある。良左衛門は不審に思って、眼を細めながら見やった。……しず江はそれに気付かぬとみえて、すばやく前後を見まわして、甲子雄の居間へすべるようにはいった。 良左衛門は足ばやに内庭をよこぎり、広縁へあがる、とたんに部屋の中から戻って来たしず江と顔を見合せた、しず江はあっと云った、息の止まるような表情をしたが、ごめんあそばせと云ってすりぬけてゆこうとした、良左衛門はその肩をつかんだ、そして部屋の中へ押しいれると、うしろ手に障子をぴったり閉じた。 「なにをしにまいった」 「…………」しず江は崩れるようにそこへ坐った。 「ここは女どものまいるべきところではない、それは知っておるであろう、なんの用があってまいった、申せ」しず江は黙って平伏していた。そのかたちは「なにも申しあげられません」というかたい意志を表白していた。良左衛門は部屋の中を見まわした、北がわの小窓の下にある甲子雄の机の上に一通の封書が置いてあった。 「動いてはならんぞ」 そう云って封書を取って来た。おもてに若旦那さまとあり、裏にはしず[#「しず」に傍点]とだけ書いてある、良左衛門は封を切った。文言は短いものであったが、内容はまったく良左衛門を愕かせた、それには甲子雄が近く嫁を迎えるという話をたしかめ、自分との約束をどうしてくれるかと詰《なじ》ってある、そして最も重大なのは次の数句だった。……今日までは包みおり候もわたくし身ごもりましてはや三月にござそろ、この事よくよくお考えのうえ奥さまをお迎えあそばすよう、それによってしず[#「しず」に傍点]にも思案ござそろ。そこまで読んで来たとき、しず江がとつぜん前跼みになった、しかし良左衛門はすばやくその肩を押え、娘の右手をとってぐっと捻じあげた、しず江の手からばたりと懐剣が落ちた。 「ばかな事をする、うろたえるな」 「……申しわけがございません」しず江は両手をついてわっと噎びあげた。良左衛門は手紙を封に入れて坐り、ややしばらく、しず江の泣く姿を見まもっていたが、「悪いようにはせぬ、仔細を申してみい、甲子とはいつ頃からのことだ」「…………」「ずっと以前からか」しず江はかすかに頷いた、「身ごもっておるということに間違いはないのだな、よし、……そのほうに云うことはない、出来てしまったことは取返しがつかぬし、嫁取りまえにわかったのがせめてものことだ、決して悪いようにはせぬから、当分は誰にも知れぬよう身を慎んでおれ」 「どうぞ、若旦那さまをお叱りあそばしませぬよう」しず江は涙に濡れた眼をあげて訴えるような声で云った、「みんなわたくしが悪いのでございます、どうぞ若旦那さまをお叱りくださいますな、おねがいでございます」 「おまえがそれを心配することはない、ただ、むやみな者に知られぬよう慎んでおれ、愚かなまねをしてはならんぞ」 「……はい」しず江は涙をぬぐってしおしおと立ち去っていった。 中山良左衛門は小田原藩大久保家の江戸屋敷年寄役で、八百石の御納戸奉行を勤めていた。夫婦のあいだに甲子雄という子が一人あり、その春ふとした緑で主家の分家にあたる大久保出羽守家の用人、佐伯靱負の娘と縁談がととのい、近日うちに結納のとりかわしをするというところまで進んでいた。……甲子雄は二十四、佐伯の娘は二十ですこし年は長けているが、ひじょうな美貌とぬきんでた才芸とで、園生という名はこちらの屋敷まで聞えていた。 [#8字下げ]二[#「二」は中見出し] 困ったことになった。良左衛門はそこに坐ったまま、しばらくは立つことも忘れて考えこんだ。妻の八重は昨年の夏から病床にいた、丈夫なからだなら相談もできるが、いまこんな悪い話を聞かせることはできない。甲子雄は幼いじぶんからすなおな子供で、気持も明るく性格もきびきびと濁りがなかった。ひと頃は学問に熱中していたが、この数年は武芸に興味をもちだして、中条流の小太刀では家中ゆびおりの名をとっている。――こんな不埒なことをしているけぶりは微塵もなかったが、否、それが親の盲目というものかもしれぬ。 良左衛門はその年になってはじめて、わが子の心を見はぐったように思い、淋しさと腹立たしさとに身がふるえた、なによりも気にいらなかったのは、蔭でそういう事をしておきながら、佐伯との縁談を黙って承知した点である。そんな不心得者とは知らなかった。もう土いじりどころではない、彼はすぐに着替えをして、老職大久保玄蕃の家をおとずれた。玄蕃が佐伯との縁談の仲人だったので、理由を語って謝絶して貰うためだった。 甲子雄はいつものとおり元気に御殿をさがって来た、風呂の中では朗詠などをやっていた、良左衛門はその屈托のないのに呆れ、昼からの立腹を更に煽りたてられた。夕食が済んでからすぐ、彼は甲子雄を自分の居間へ呼んだ。 「碁のお相手ですか」そんなことを云いながらはいって来た甲子雄は、父のけわしい顔つきをみて驚いたようすだった、彼はしかし明るい眉をしてしずかに坐った。良左衛門はするどくその面を睨んでいたが、やがてしず江の手紙をとり出して投げやった。 「それを読んでみい」 「はい」甲子雄は封書をとりあげ、おもて裏をうちかえして不審げに父をみたが、すぐに中の手紙をぬきだして読んだ。……彼の表情はみるみる変った。二十四歳になる今日まで、良左衛門はわが子の顔にそういう表情のあらわれたのを曽て見たことがなかった。 「甲子雄、覚えがあろうな、覚えがあるか」 甲子雄は手紙をしずかに巻き、封へ入れて押しやりながら父を見あげた。 「父上、この書面はどうしてお手にはいったのですか」 「さような事はどうでもよい、覚えがあるかと訊いておるのだ」 「お言葉を返して恐れいりますが父上」甲子雄は押し返して云った、「どうして是がお手にはいったかをお聞かせください、誰かがお見せ申したのですか、それとも自身お手にはいったのですか」 「しず江が自分でそのほうの部屋へ持ってまいった、それをわしがその場で押えたのだ、そればかりではない、当人の口からも聞き取ってある、……これでもそのほう申しひらきができるか」 甲子雄は口をつぐんだ。彼には云うべき言葉がなかった、身に覚えのないことである。そう云ってもまるで夢のような話だった、彼は小間使の美しい顔を思い、手紙に書いてある文字の意味を思った、すべてが突然で、あまりに連絡がなくて、まるで印象がばらばらだった。みんな嘘です、そういうのは簡単である、しかしそれだけで父が信用するだろうか、もし小間使とつき合せられたとして、たしかにそういう事情があったと云われたとき、それをうち砕く言葉が自分にあるだろうか。 「返答のないのは覚えがあるからだな、甲子雄、男は男らしくしろ、覚えがあるのかないのかどうだ」 「……唯今は申しあげられません」 「どうして云えぬ、是ほど判然としてもまだ云えぬか、うろんなまねは赦さんぞ」 「うろんではございません」甲子雄は父をはっきりと見あげて云った、「わたくしにはわたくしで考えもございます、決して父上の御名を辱《はずかし》めるような事は致しません、しかし一度しず江に会いたいと存じます、その上で仔細を申しあげます」 「その必要はない、しず江の事はわしが始末をする」 「父上……」彼は膝をのりだした。 「佐伯との縁談も断わったぞ」良左衛門は声をふるわせながら云った、「そのほうも当年二十四歳になる、改めて小言を云わずとも善悪はわかる筈だ、八重は病床にいる、……父ひとりでかような心配をしたことだけ忘れるな」 「申しあげます、父上、しず江に会わせてください、ぜひとも会わなければならぬのです、おねがい申します」 「……会ってどうしようというのだ」 [#8字下げ]三[#「三」は中見出し] 「話したい事があるのです、訊きたいことがございます、どうか一度だけ会わせてください、父上おねがいでございます」 「甲子雄……」良左衛門は冷やかに云った、「おまえはお国詰めになる筈だ、四五日うちには小田原へ立てるよう、わしから御老職に願ってある、うろたえたまねをすると家名にかかわるぞ」 甲子雄は蒼白めた顔で父を見あげていた、良左衛門のほうが却ってたじろいだ、彼はふと眼をそむけながら、呟くように云った、「…かね[#「かね」に傍点]にそう申してみろ」甲子雄は会釈をしてすぐに立った。 かね[#「かね」に傍点]というのは婢頭で、十五年もこの屋敷に勤めていた。年も四十にちかい、母が病床の人となってからは一手に家政のきりもりをしているが、奥にも表にもなかなか重しの利く存在だった。……かね[#「かね」に傍点]は会わないほうがよいと云った、「お会いになっては事がもつれます、旦那さまとかね[#「かね」に傍点]で悪いようには致しません、どうぞこの事はこれきりでお忘れあそばせ」 「ばかなことを云ってはいけない」己はなにも知らないのだ、そう云いかけたが、甲子雄はここでもまたそれが云えなかった、「当人のおれに責任のあることだ、これは己としず江とのふたりの責任なんだ、父上やおまえだけで解決することがらではないんだ」 彼はどうしても会うと云い張った。かね[#「かね」に傍点]はそれでもならぬとは云えないので、 「ではお仏間においであそばせ、かね[#「かね」に傍点]がつれてまいりますから」 「きっとだぞ」念を押して彼はそのまま仏間へはいった。かなり待たせてから、ようやくやって来たかね[#「かね」に傍点]はひどく慌てていた、「若旦那さま、しず江がみえなくなりました」「……なに」「書置きを遺しております、着替えを持って出ましたようで、出奔したものと存じます」 「書置きはどうした」 「ただいま旦那さまにさしあげてまいりました」 甲子雄は立って、「すぐ宿元へ人をやれ」と云いすて、走るように父の居間へいった、良左衛門はそれを読み終ったところだった。「……父上」 「あれは出奔した、そのほうに呉々も詫びておる」 「それだけでございますか」 「ゆくえは捜してくれるな、その時が来れば詫びにまいる、と……それだけだ」良左衛門は書面を置いて、深く息をつきながら叩くように云った、「哀れなやつだ」 宿元へ人をやったがもちろんしず江はいってはいなかった。召使の者はたいてい小田原の人間なので、その点を折り返し調べさせたが、しず江は早くから両親がなく、遠い縁者がいるだけで、おそらく江戸うちに身を隠しているのだろうということだった。そういうごたごたした事が片付かぬうちに、甲子雄に国詰めの沙汰がさがった。それで心をのこしながら、彼は家士二名と下僕をつれて江戸を立った。 佐伯との縁談を父がこわしたことは、さして重大ではなかった。園生という娘の才媛の名はかねて聞いていたけれども、かくべつ妻にしたいという執着があったわけではない、それよりもいま甲子雄のあたまのなかはしず江のことでいっぱいだった。……彼女は三年まえ十五歳で小間使にあがった。眼の大きな、ふっくらとした顔だちで、笑うときにできる片笑窪《かたえくぼ》が云いようのない可憐な感じを与えた。婢たちを奥へでいりさせなくなったのは母が病みついてからで、そのまえにはしず江がよく来た。食事のしらせや茶のときにはきまって彼女がそう云いに来た。甲子雄はそれほど意にとめていたのではないが、しかし彼女を見ることは好きだった、しず江を見るとなんとなく心がゆるやかに温かくなるような気がした。……或るとき母が、父にむかってこんなことを云っていた。――あれはめずらしく心ざまのやさしい娘です、気に張りもあります、ああいう娘を娶る良人はきっと出世をしますよ。ほんの茶話であったが、聞いていた甲子雄はなるほどそうかもしれないと思った。 甲子雄はそういう風に彼女をみていた、それで父からあの手紙を見せられたとき、愕いたことは云うまでもないが、すぐに是にはなにか理由があると思った。彼にとっては根も葉もないぬれぎぬであったけれど、相手がしず江だけに、どうしてそんな大胆なことをしなければならなかったかということが知りたかった。そしていちばん強く脳裡にうかんだのは、あれはこの甲子雄を想っていたのではないか、ということだった。 [#8字下げ]四[#「四」は中見出し] 小田原へ着いた甲子雄は、ひとまず城中二の曲輪《くるわ》の長屋に落ち着いたが、間もなく願って城下に家を貰って移った。かくべつ役目はなかったので、若侍たちに中条流の手ほどきをするのと、三日にいちど登城するほかはからだがあいていた。それで菅沼小七郎という櫓番を勤める男にさそわれて釣りをはじめた、生れてはじめて釣り竿を持つのだが、城下近くに早川、酒匂という好い釣り場があり、魚も多かったのですぐにその面白さと味を覚えこんだ。 そうしているあいだにも、しかし彼はしず江のことが絶えずあたまにあった。佐伯との結納のとりかわしがさし迫っているとき、それをうちこわすような事を敢てしたのは、彼女が甲子雄を愛していたからではないか。甲子雄を他人に取られたくないという、思い詰めた、一途な考えから、前後を忘れてあんな大胆なことをしたのではないか。……そう思うといろいろな事に解釈がつく、そして望みどおり佐伯と破談になったと聞いて、こんどは自分のした事の重大さに気付き、いたたまれなくなって家出をしたのであろう。それに相違ない、しかしそんならなぜ、もっとはやくその気持を伝えなかったのか、娘のひとすじな気持を察すると、いじらしくなるだけ、それだけ、甲子雄は歯痒かった。母上もあのように御贔負だった、身分の違いということだって動かすべからざるものではない、世間に例のないことではないのだ、あの時あれほど大胆なことができるなら、もっと前にそれだけの勇気が出せた筈ではないか。 考えるだけ考えて、結局おもうのは一度しず江に会いたいということだった。そして彼女の心をたしかめたうえ改めて妻に迎えてもよいと思った。けれども江戸の家からはかね[#「かね」に傍点]が「まだしずの行衛は知れない」という手紙を一度よこしたきりで、夏を過ぎてもなんの知らせもなかった。……そして秋八月になると主君加賀守が参覲のいとまで帰国し、小田原城下はにわかに活気だってきた。 江戸から来た供のなかに、中小姓で矢野伊太夫という若者がいた。甲子雄とは親しく往来していた間柄なので、帰藩の騒ぎが落ち着くと歓迎の小宴を催すことになった、「それなら川原の菊屋がいい」菅沼小七郎が場所をきめた。それは早川の川原に臨んでいる料亭で、箱根へゆく客の宿もする、小七郎は釣りの往き帰りにたびたび寄ってなじみだった。 矢野はほかに三人ほど同僚をつれて来た。甲子雄も菅沼のほかに勝田、鹿野という若侍をさそった。座敷は川にのぞんだ二十畳敷で、瀬の音が部屋いっぱいに流れこんでくるし、昏《く》れゆく箱根、足柄の山々を一望に眺めるいい席だった……顔のそろったのは黄昏《たそがれ》まえで、みんな改めて名乗り合うまでもない間柄だったから、たちまち賑かな酒になった。灯がはいってからは座が一層うきたってきた、年頃もおなじぐらいだし、血気ぞろいで、酒はすばらしくはずんだ。鹿野安二郎は少し酒癖があるので、甲子雄はときどき、「おい鹿野、やりすぎるとまたしくじるぞ、今夜はあばれないようにしろよ」そう声をかけた。 「今夜はだいじょうぶです、なにしろ御師範がいるから、へたにあばれると捻られる、なま酔い本性たがわずですよ」安二郎はいい気持そうに笑っていた。彼は甲子雄から中条流のてほどきをして貰っているひとりだったのである。 「おい中山、貴公にちょっと話がある……」矢野がふと思い出したように、盃を持ってそばへやって来た、「貴公うまいことをしたぞ」 「……なんだ」 「あの佐伯の娘なあ、貴公と縁談がまとまりかけてだめになった」 「なんだ、よせよそんなつまらぬことを」 「ところがつまらなくないんだ、出羽侯の家中でずい一の才媛とよばれ、ずばぬけた美人と評判だったが、どう致しましてあれから間もなくばけの皮がはげて大変なことになった」酔っているから無遠慮だった。伊太夫はぐっと仰った盃を甲子雄にさしながら、「貴公との縁談が不調になると間もなく、あの娘は某侯の……これは云わぬ……某侯の家中で林……いやこの名も遠慮しよう、つまりさるところへ興入れをした、ところが五十日と経たぬうちに、あの娘に不義の証拠があらわれてそっくりそのまま実家へ送り戻しさ」 「そんな、ばかなことが」 「ばかな事じゃない、相手は佐伯の家のさむらいで、二年も前からの関係だというその証拠までちゃんと押えられたんだ」甲子雄はいっぺんに酔いのさめる気持だった、伊太夫は自分のことを誇るようにそう云った、「貴公あぶないところだった、中山は運がよかったと江戸では評判だぞ」 [#8字下げ]五[#「五」は中見出し] かくべつ執着のある娘ではなかった。しかしいちどは結納のとりかわしをしようとした相手である。甲子雄はその話を聞いて、自分が幸運だったと思うよりも、園生というその娘の不幸な身の上が哀れだった。ほんとうの仔細はわからないが、自分の屋敷の家士とまちがいがあったというのは恐らく事実だろう、ふたりの恋は許されなかった、そして娘はその恋を秘めて他家へとつがなければならなかった。そこには哀れな事情があるにちがいない、そうなるまでには、女も男もどんなにか苦しんだことだろう。甲子雄にはまずそれが考えられた。そして人間にはなんと多くの、それぞれのいのちがあることだろうと思った。 「恐れいりますが、どなたさまかちょっといらしって頂けないでしょうか」 座敷の障子をあけて、この家の女のひとりが顔をだした、菅沼がふりかえった。 「なんだ、なにか用か」 「いまおつれさまが向うで」と女は離れのほうへ眼をやった、「……うちの女中をつかまえて無理を云っていらっしゃるんです、まだ来たばかりで慣れない女中ですし、たいそうお酔っておいでなさるので、わたくしどもには手が出せません、可哀そうですからどなたかいらしって……」 「誰だそんな悪さをするやつは」小七郎はいならんでいる顔を見まわした、「いけない中山さん、鹿野ですよ」 「鹿野はいるだろう」甲子雄もすぐに見まわしたが、そこにいないのは安二郎ひとりだった。 「また癖がでたんですよ、あなたでなければおさまりません、いってください」 「めずらしくおとなしいと思えばよそを稼ぐか」甲子雄は苦笑しながら立った。 廊下を帳場とは反対のほうへまっすぐにゆくと、二間ほどのわたりがあって、川原の上へさしかけに造った離室に通ずる。女に案内されてわたりまでゆくと、もう安二郎の喚きたてる声が聞えた。……甲子雄はしずかにはいって行った。安二郎は大あぐらに坐り、ぐたぐたに酔った肩をつきあげながらわけのわからぬことを喚いている、それと斜交《はすか》いに若い女中がちいさく身を縮めていた、見ると右手をしっかり安二郎に掴まれているのであった。 「おい鹿野こんなところでなにをしているんだ、さあ、向うへいって呑まぬか」 「うるさい、拙者はいま詮議ちゅうだ」 「また癖をだしたな、なんの詮議だ」 「この女が」と安二郎は掴んでいる手を叩いて、「この女がわれわれの座敷のようすを窺っていたんだ、われわれの話を立ち聞きしていたんだ、だからいまその詮議を」「ばかげたことを云うな」甲子雄はふきだしながら、掴んでいる女中の手を放させようとした、「陰謀の集まりではあるまいし、聞かれて悪いような話はしておらぬ、つまらぬことを云わないで向うへゆこう」 「いやだ、詮議が済まぬうちは動かん」 「いいからこの手を放せ、おい、己は怒るぞ」逆に捻ったので、安二郎は女の手を放した、そのとき甲子雄は女中の顔を初めて見た、そしてあっと云った。 「おまえは、……しず江ではないか」 女は身を縮めたまま、逃げる隙を窺っていたようにぱっとはね起き、ものも云わずにわたりのほうへ走っていった、甲子雄は逃さなかった、廊下のかかりで追いつき袖をとってひき戻した。 「なぜ逃げる、おれは捜していたんだぞ」 「どうぞ、どうぞお放しくださいまし」 「放さない、聞きたいことを聞くまではどんなことがあっても放さない、どうしておまえは」 菅沼小七郎がそこへやって来た。 「どうしました中山さん」 「ああちょうどいい、向うに鹿野がいるからつれていってくれ、拙者はこの女にすこし話がある、ちょっと中座をするからとみんなに伝えて置いてくれ」 「承知しました」小七郎はこの場のようすが唯事でないのをみてとった、「あとはいいようにします」 「たのむ」と云い捨てて甲子雄は女の腕をとり、ほとんどひき立てるように廊下をまがっていった。 [#8字下げ]六[#「六」は中見出し] 夜風はもうはっきりと秋だった。星明りで、川原はかなり遠くまで眺めがきいた、淙々たる瀬音を縫って虫の鳴声がしきりだった。……菊屋の庭つづきを川原まで来て、甲子雄は足をとめながらふりかえった。 「それを知っていた……おまえがそれを知っていたというのか」 「はい存じておりました」しず江は俯向いたまま低いこえで云った、「わたくしの従姉が佐伯さまへご奉公にあがっています、その従姉からお嬢さまのお噂はうかがっていました、それで……若旦那さまとの御縁談がまとまっては大変だと思ったのです、そういうお身持の悪い方をお迎えあそばして、もし若旦那さまのお名に関わるようなことができては大変だと思ったのです」 「それであんなことをしたのか、あんな思いきったことを……」 「御結納が迫っていますし、わたくし愚かでございますから、ほかに思案がございませんでした、また事実を申しあげては、佐伯さまのお嬢さまの悪口を申すことになります、従姉の話は嘘ではないと存じましたけれど、それだけで、御大身のお嬢さまに瑾《きず》をつけるようなことは申しあげられません、……それでわたくし、あんなばかな事を致しました」 佐伯の娘の不身持を知って、甲子雄との縁談をこわそうと考えたしず江の、いかにも娘らしい一途な遣り方が、甲子雄にはいまいじらしく哀れに諒解された。ほかの者ならもっと別な方法があったかもしれない、しかし彼女の小さな胸にうかんだ思案はそのひとつきりなかった。事は急ぐ、しかも決定的でなければならない、そこでしず江は自分の恥を賭けてああいう思いきったことをしたのだ。 「わたくしの愚かな仕方のために、若旦那さまがお国詰めにおなりあそばしましてから、しず[#「しず」に傍点]もすぐおあとを追ってここへまいりました、松田の近くに遠い親類がございます、いちどそこへ身を寄せましたうえ、先月の末から菊屋へ働きに出ておりました、若旦那さまが、ときおり菅沼さまとお立ち寄りあそばすのを、知っておりましたから、そして、いつかその折があったら、おめにかかってお詫びを申しあげるつもりでおりました」 「ではさっき立ち聞きをしていたというのはほんとうだったのだな」 「はい、佐伯さまのお嬢さまの話をうかがったときは、わたくし、これでやっとお詫びのしるしができたと、うれしゅうございました」 しず江はそっと袖口を眼に当てた。甲子雄はその可憐な姿をみて、いきなり抱きしめてやりたい衝動をさえ感じた。 「ではさっき、なぜ逃げようとしたんだ」 「なぜでございますかしら」しず江は泣き笑いのような表情をした、「わたくし、自分でもわかりません、ただ恥かしくて、夢中でございました」 「なんだ」甲子雄は明るく胸の晴れたこえで高々と笑った、それから改めて云った、「よくわかった、詫びるどころか、こちらが礼を云わなくてはならぬ、いや礼のほかに聞いて貰いたいことがあるんだ、……しかし今夜はそうしている暇はない、あした改めて来る、あしたの晩にまた来て話そう」 「でもお詫びがかないましたのですから、わたくしは……」 「それよりもっと重大な話だ、そのためにおまえを捜させていたくらいなんだ、いいか、あしたの晩もういちど会おう、忘れずに待っていてくれ、わかったな」 「はい、……では、お待ち申しております」 「約束したぞ」甲子雄はつとしず江の手を握った。娘は身を縮めるようにしたが、そのまるい豊かな胸は大きく波をうっていた。 しかし、その明る夜、甲子雄がたずねて来たときには、もうしず江は菊屋にはいなかった、そして次のような手紙が甲子雄に宛てて残されていた。 [#ここから1字下げ] お心にそむき申しそろ、今宵お越しあそばされてなに事の仰せあるやは僭上ながらおよそお察し申し上げそろ、川原にてのお言葉の端々、うれしくもったいなく血も消ゆるばかりにて、身の果報にひと夜泣き明かし申しそろ、なれどもしず江はおなさけにあまえることはかなわずそろ、おなさけにあまえては己が身のため御縁談をこわし候ようにあいなり、義理あい立たぬ仕儀と存じ申しそろ。なにとぞしず[#「しず」に傍点]のことはお忘れあそばし、一日も早く江戸へおたち帰りのうえよき奥さまをお迎えあそばすよう、蔭ながらお家百年のご繁昌をお祈り申しあげそろ。 [#ここで字下げ終わり] 甲子雄は読み終るとすぐ帳場へゆき、松田の近くにあるというしず江の親戚の家をたずねてそこを出た。そして菅沼小七郎に馬を借り、夜道をかけて松田へむかった。甲子雄にとって、おまえのほかによき妻があると思うか。会ったらまずそう云おう、馬を駆ってゆく彼の頭はそのことでいっぱいだった。道草にはもう露がおりていた。……たずねゆく家に、しかしはたしてしず江はいるであろうか。 底本:「感動小説集」実業之日本社 1975(昭和50)年6月10日 初版発行 1978(昭和53)年5月10日 九版発行 底本の親本:「羅刹」操書房 1947(昭和22)年6月 初出:「羅刹」操書房 1947(昭和22)年6月 入力:特定非営利活動法人はるかぜ
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上原都 【名前】上原都 【出典】ぱにぽにだっしゅ! 【声優】堀江由衣 【星座】山羊座 【血液型】AB型 【能力】 統率■74 武力■77 知力■71 政治■68 【性格】剛胆 【初期所持兵法】 奮戦 奮闘 突破 突進 罠破 罠 罵声 以下、登場人物のマスクデータを含む +開示する 【相性】114 【義理】11 【野望】7 【初期兵法熟練値】 歩兵■416 騎兵■414 弓騎■0 弩兵■0 水軍■0 攻城■0 知識■262 謀略■248 策略■216 【解説】 桃月学園1年C組の生徒。そして番長。 全体的にまとまった能力を持つ。さすが番長。 全ての能力が均等に高めで、野戦のスキルも豊富。前線基地の守将にぴったりだろう。番長ですから。 「番長って言うなー!!」
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芹沢茜 【名前】芹沢茜 【出典】ぱにぽにだっしゅ! 【声優】沢城みゆき 【星座】座 【血液型】型 【能力】 統率■85 武力■84 知力■18 政治■13 【性格】猪突 【初期所持兵法】 奮戦 奮闘 突破 突進 蒙衝 楼船 罵声 鼓舞 以下、登場人物のマスクデータを含む +開示する 【相性】4 【義理】13 【野望】14 【初期兵法熟練値】 歩兵■486 騎兵■453 弓騎■0 弩兵■0 水軍■442 攻城■0 知識■0 謀略■0 策略■406 【解説】 桃月学園1年D組の生徒。 頭の方はちょっとあれだが、武に関してはなかなかのステータスを誇る。 統率も高いため、野戦での使い勝手はかなりいい。 補佐役に一条さんあたりを置いておけばかなり役立ってくれることだろう。